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目時 直人
固体物理, 55(7), p.285 - 296, 2020/07
物質の電子状態を解明することは、「固体物理」の主要な研究テーマである。それは多極子や超伝導などの微視的な理解に欠かせない。希土類(4)やアクチノイド(5)は、電子数の増加とともに複雑さを増し、様々な相互作用が競合して多様な状態が出現する。多体電子系の結晶場分裂はバンド幅より狭いため、(1)高分解能の実験が必要で、(2)遍歴的なCeやU化合物は本質的に明瞭なスペクトルを示さない。また、(3)国際規制物質NpやPuなど超アクチノイド元素の取り扱いは厳しく規制されている。そこで比較的局在性の強い物質や希土類関連物質の、中性子散乱実験による磁気励起の研究が有益である。本稿では重い電子系化合物NpPdAlと関連物質の電子状態について述べる。
目時 直人; 青木 大*; Griveau, J.-C.*; 大槻 純也*
Journal of the Physical Society of Japan, 89(2), p.024707_1 - 024707_6, 2020/02
被引用回数:3 パーセンタイル:30.58(Physics, Multidisciplinary)重い電子系超伝導体NpPdAlの擬三重項5電子基底状態を明らかにした。主にからなる一重項基底状態の,K上に、が主要な成分の二重項第一励起状態を仮定することで帯磁率の温度依存性が説明できる。磁化曲線は擬スピン=1の局所有効ハミルトニアン()で説明でき、これは四極子演算子と等価である。比熱は擬三重項を反映してエントロピーがRとなるように規格化した近藤モデルによって理解でき、近藤温度,Kは分裂幅,Kと同程度であり、多チャンネル近藤効果を示しうる二重項が含まれた擬三重項が重い電子状態と超伝導を担っていることが明らかになった。
目時 直人; 芳賀 芳範; 山本 悦嗣; 松田 雅昌*
no journal, ,
UPdAlの中性子散乱実験の結果、明瞭な結晶場励起が観察され、5電子が局在的で非クラマースイオンU(5)の一重項基底状態あることがわかった。PrPdAlと類似の状態を仮定して励起スペクトルや帯磁率が定量的に説明できた。励起エネルギーがPrPdAlより10倍程度大きな理由は、5電子の遍歴性が大きく、結晶場も大きいためであろう。NpPdAlのNpはほぼ3価のため、UからNpへ価数(5電子数)が急激に変化していることがわかる。NpPdAlの重い電子状態には、この価数異常が関与していると考えられる。
目時 直人; 山内 宏樹; 北澤 英明*; 鈴木 博之*; 萩原 雅人*; 益田 隆嗣*; 松田 雅昌*; Aczel, A. A.*; Songxue, C.*; Hong, T.*; et al.
no journal, ,
重い電子系超伝導体NpPdAlの5電子状態と重い電子の起源を解明するため、結晶構造が同じ希土類化合物の電子状態を中性子散乱実験により明らかにした。PrPdAlとNdPdAlの結晶場励起を観察し、正方対称の結晶場ハミルトニアンを解析的に対角化した結果と比較して電子状態を決めた。結晶場パラメーターが物質に依らずほぼ同じであることは、有効点電荷ポテンシャルもほぼ同じことを意味する。これらの結果からNpPdAlやUPdAlの5電子状態を明らかにすることができた。
目時 直人; 青木 大*; Griveau, J.-C.*; 大槻 純也*
no journal, ,
重い電子系超伝導体NpPdAlは、ほぼ三価の非クラマースイオンのNp(5)が実現し、全角運動量=4はPrと同じである。帯磁率と磁化曲線の定量的解析から一重項基底状態の約49K上に二重項第一励起状態が存在することが明らかになった。一重項では近藤効果は生じないため、NpPdAlの重い電 子状態には2チャンネル近藤効果を示しうるが関与することが明白である。NpPdAlの低温比熱は(i)近藤温度が分裂幅程度の重い電子状態と(ii)局在 ショットキーに分解して定量的に説明できる。AmPdAlまで一連の化合物の電子状態を-結合描像で表すと結合描像と対応づけができる。Pu及びNp化合物はそれぞれCe及びU化 合物のホール版とみなせ、はPrTXと同じ機構で安定化する。Pr(電子)とNp(ホール)同じ機構のが超伝導を示すのは非常に興味深い。